束の間の日常

本作品は一種のドキュメンタリーとして写真に収めました。祖父は15年前、私が物心つく前に癌で亡くなっています。祖母は築50年にもなる大きい一軒家で15年間、1人で暮らしています。きっかけは近すぎてファインダーを向けて来なかった存在である祖母を「収めたい」と思ったことからでした。彼女は御歳80歳を迎えます。時間は有限ではありません。祖母が亡くなった瞬間、この空間は一生戻ってきません。死を受け止め、生活している祖母の当たり前を撮影しました。日常は”今”の積み重なりであり、永遠ではないという意味を込めています。

藤井真鈴
/ FUJII Marin