私について

私のこれまでの人生を年表にして
その時に考えていたことや印象的なエピソードを書き起こしました。

ただの自分語りですし文字ばかりで読みにくいですが、
「もしかすると自分は繊細さんかも」という方の参考として
お役に立てれば幸いです。

わたし年表

幼児期 ―恥ずかしがり屋さんのこども―

この頃の自分について覚えていることがほとんどありませんが、恥ずかしがりなこどもだったことは覚えています。幼稚園の先生がくれたバースデーカードには「すこしはずかしがりやさんだけど、ココっていうときにとってもがんばるゆうかちゃんがせんせいはだいすきです」と書かれていました。
ぜ〜んぜん人と話せなかったし、近所の人に挨拶されても母の背に隠れたりしていたので、今思い返すとちょっと照れくさいです。

幼稚園の先生がくれたバースデーカード
▲先生お手製のおさるさんバースデーカード(顔をめくるとメッセージが!)

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小学生 ―自身の繊細さに気づき始める―

低学年のときはただの恥ずかしがり屋としか思っていませんでしたが、高学年になって「自分って繊細だな、すごく傷つきやすいタイプだな」と感じ始めました。そう思ったきっかけは、小学5年生くらいのとき「ガラスのハート」という言葉を覚えて隣の席の男の子に「私ってガラスのハートなんだよね」と言うと、その子に「ガラス」と呼ばれるようになったことでした。言い始めたのは自分だし、軽く受け流してしまえばいいのに、「ガラス」と呼ばれるたびに自分の脆さを自覚させられるようで地味に傷ついていました。

そんな悲しい思い出もありますが、楽しかった思い出もあります。たとえば、拾った木の実や枝などを使って「自分が住んでみたいドリームハウス」を作るという図工の授業や、宮沢賢治の『やまなし』に出てくる謎の存在クラムボンを生徒それぞれのイメージで描くという国語の授業があったのですが、そんな創造的な作業が大好きで楽しんでやっていたので今でもよく覚えています。自分の内側にあるイメージやアイデアを感じ取ってアウトプットするのが好きな繊細さんらしいなと思いますね。あと、休み時間は外に出て遊ぶよりも中で友達とごっこ遊びをする方が好きなタイプでした。

やまなしの絵
▲記憶を頼りに再現したやまなしの絵(黄色の物体がクラムボンのつもり)

中学生 ―"弱い"自分がイヤになる―

中学時代は色々な経験をしました。朝のHR前の読書時間のおかげで本を好きになれたり、合唱祭の実行委員になってクラスを最優秀賞に導けたり、水泳部の部活動や勉強に打ち込んだり、今でも毎日連絡を取り合う親友ができたり…。当時のことを思い出してはじめに浮かぶのは楽しかった思い出ばかりです。

しかし、苦しかった思い出もあります。中学校では副部長や委員長を経験したのですが、努力が空回りしていました。「まわりの手を借りず何もかも1人でやろうとしていた」のが原因だと今は理解できますし、未熟だったな〜と思いますが、当時は自分の何がダメなのか分からなかったし、上手くいかないことに本気で悩んでいました。

部活では特に苦労した覚えがあります。部長ともう1人の副部長との連携が取れず(取ろうとしていなかった)、次第に部活全体でもまとまりがなくなっていき、メンタルがぼろぼろになってしまいました。顧問の先生がそんな私を見かねて相談の場を設けてくれましたが、いざ自分の気持ちを吐き出すと涙があふれて止まらなくなるのです。泣きたいなんて全く思っていないのに。こんな姿を人に見せて情けないし、かっこ悪いし、治したくても治せないし。「なんでこんなに弱いんだ、なんで泣いてしまうんだ」と自分を責めてばかりでした。そしてこの頃から「自分の繊細さ=弱さ・嫌なもの・治さないといけないもの」という認識になりました。

高校生 ―自分を救ってくれた"繊細さん"―

高校時代は楽しいことよりもつらいことの方が多かったです。しかし、自分が繊細さんであると気づけたのもこの時でした。だから良いことばかりでもなかったけど、自分にとって大切な時期だったことは確かです。

高校でも水泳部に入り、今度は選手ではなくマネージャーになりました。1年生のころは部活も楽しくて充実した学校生活を送れていたような気がします。しかし、2年生くらいからうまく言い表せない違和感や、私の中の”何か”が狂っていくような感じがありました。はじめは気にしていなかったけれど次第にその違和感が膨れていって、ある時バーン!と弾けてしまいました。

そうなったきっかけは部活の同期との人間関係でした。別に悪い子たちではなかったし私もその輪に入って話したり遊びに行ったりする仲でしたが、前々から彼女たちと価値観が合わなくてなんとなく居心地が悪いなと感じていたのです。「みんな楽しそうにしてるけどそんなに楽しいかな?」とか「でもこの空気を壊したら白い目で見られそう」「ちゃんと話を合わせなきゃ」とかいろいろ考えてしまい、モヤモヤを抱えつつも愛想笑いして自分の心を騙していました。そうして自分の気持ちに蓋をし続けた結果が、さっきの「バーン!」です。気づかないフリをしていたけれど、抱えていたモヤモヤは抑えきれないほど増殖していて、何もかもがイヤになってしまいました。

誰かこのしんどさをわかってくれないかなと思い、Googleにひたすら愚痴という名の検索をする日々が続きました。「人間関係 めんどくさい」「部活 居心地わるい」「部活 やめたい」とかそんな感じです。そうしてストレス発散をしていた時、あるブログを見つけました。これが私を変えてくれた”恩人”のような存在のブログとの出会いです。

今はリンクが切れているので確認できませんが、タイトルはたしか『1人が好きな人の特徴』だったと思います。ブログを書いた人も私と同じような悩みを抱えていて、1人でいることが好きで…と共感の嵐でした。読み進めていくと、そのブログを書いた人が「自分はHSPかもしれない」と言ってHSPの説明を始めたのです。そこで私はHSPという言葉を知りました。同じような悩みを抱えていたのは私だけじゃないこと、なんとなく感じていた生きづらさはこの気質由来だったこと……など。挙げ出したらキリがありませんが、HSPという概念を知って救われた気持ちになりました。

その後、HSPについてもっと知りたいと思い、ネットで色々調べたり関連本を買って読んだりしました。その中で最初に手に取ったのは、HSP専門カウンセラーの武田友紀先生が書かれた『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』です。この本は、繊細さんならではの悩みに有効なノウハウや繊細さんが元気に生きるための技術が詰め込まれていて、当時の私にとって目から鱗の内容でした。

繊細さんの本
▲「繊細さん」の本

中でも一番おどろいたのは『「キライ」は大切なセンサー。人を嫌えるようになろう』という話です。その話は、繊細さんの中には「キライ」という大切なセンサーを封じていて人間関係で苦労する人が多いといった内容でした。私は昔から人を嫌ってはいけないと思い込んでいて、苦手に感じる人にも自分から近づいていって疲弊してしまうことが何度もあったのですが、「そう言われてみれば自分もたしかにそうだ…」と本を読んで気づきました。部活の人間関係でモヤモヤしていたのも、こうやって自分のセンサーの警告を無視して合わない環境に身を置き続けていたからだと分かり、思い切って部活をやめました。

決断までに時間はかかったものの、やめた後はそれまでのモヤモヤが嘘みたいに心が晴れやかになりました。後悔することも全くなかったし、むしろ「やめて正解だったな」と何度も思いました。こうして私は自分に合った環境に身を置くことが大事だと学び、繊細さんの感性を大切にしながら生きる術を身につけはじめたのです。

大学生 ―繊細さを前向きに捉えるようになる―

大学生になってからは、つらい思いをしたり自己嫌悪したり人間関係で悩んだりすることがぐっと減りました。大学という自由な環境もありますが、繊細さんと気づいたことで自分と向き合う時間が増えたり、感情や体調のコントロールの仕方がわかってきたりして、繊細さんとして前向きに生きられるようになったからだと思います。

実は、繊細さんだと気づいた当初は「どうして繊細さんとして生まれてきちゃったんだろう」とか「生まれ変わったら繊細さんじゃなければいいのに」というふうに、繊細さをネガティブなものとして感じることもありました。でも、繊細さは環境によって良い影響も悪い影響も両方もたらすもので、繊細であること自体が悪いわけではありません。悪いものに目を向ければ気分は落ち込んでしまいますが、逆に良いものに目を向ければ気持ちも明るくなっていきます。

だから私は意識的に良いものを見つけ、それをじっくり感じる幸せを味わうようになりました。そうすることで繊細な自分を自然と肯定できるようになったし「繊細でもいいじゃない」と思えたので、とても充実した生活を送っています。そしてこれからも繊細な感性を大事にして、行きたい場所に行ったり、やりたいことをやったり、自分らしく生きていきたいな〜と思います。

さいごに

ここまでご覧いただきありがとうございました。
この作品制作の振り返りをして締めようと思います。

制作していて一番大変だったのはアニメーションでした。
大量のイラストを描いては動かし描いては動かし…という
とんでもない量の作業をはじめて経験して
「アニメーターの人ってすごいんだなぁ…」と思いました。

また、心象風景という目には見えない心のイメージを扱ったので
制作中に何度も「難しいテーマにしちゃったな…」とか
「こんな風景で合ってる…のか?」とかぐるぐる考えて
自分でもどうしたらいいのかわからない時がありました。

そんなふうに苦しんだ時期もありましたが、
どうにか形にして皆さまにお見せすることができました。

完成した時には今までにない達成感を得られましたし、
自分が表現したものを誰かに見てもらえることを
たいへん嬉しく思います。

繊細さんについて知っている人も、
この作品をきっかけに知ったという人にも
楽しんでもらえる作品となっていれば幸いです。

* * *

それでは最後に、こんな問いかけをしてみます。
いま、あなたの心の中ではどんな風景が広がっているでしょうか。

モヤモヤしたり、くすんでいたりしますか?
それともキラキラしたり、あたたかい感じがしますか?

どうかあなたの心象風景が
明るくて幸せに満ちたステキなものでありますように。

    【参考文献】
  • 『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本』武田友紀著、飛鳥新社
  • 『「繊細さん」の幸せリスト』武田友紀著、ダイヤモンド社
  • 『HSPブームの功罪を問う』飯村周平著、岩波書店
  • 『敏感すぎる私の活かし方 高感度から才能を引き出す発想術(フェニックスシリーズ)』
    エレイン・N・アーロン著、片桐恵理子訳、パンローリング