同志社女子大学 メディア創造学科
進級制作展’24 TOUCH


『RANK』

本、ポスター

伊東悠衣

髙木ゼミ

私が社会に対して普段感じている格差や問題などを、丸を用いて抽象的に表現しました。なぜ丸を用いたかというと、試験などで使用するマークシートに着想を得たからです。マークシートを用いて行われる試験は私たちも受けてきましたが、こういった試験で判断されてきた社会は本当に正しいのか?と疑問に思ったのであえて使用することにしました。読者への問いかけがたくさん含まれた本になっているのでぜひお手に取ってみてください。


『言葉は消えない』

カード、ポスター、日記

伊藤凜

髙木ゼミ

あなたは、言葉を使う時に気をつけていることはありますか?何気ないその一言で、相手がどんなふうに思うのか想像していますか?言葉には皆さんが思っている以上に大きな影響力があります。SNSが普及した現在、責任を持って言葉を使うという感覚が薄れてしまっているように感じます。そこで私は、言葉の先には、あなたと同じ「人」がいるのだということを意識してSNSを活用して欲しいという思いから、「人」から形作られたタイポグラフィポスターとSNSでの被害実例を紹介するカードを作成しました。オーストラリアでの16歳未満のSNS利用禁止のニュースから、SNS上での問題は他人事ではない問題であると考えております。特に、成長過程である若者にとってSNSは刺激が強く影響力が大きなものであると私自身感じています。現状を知ることが問題解決の第一歩になるのではないでしょうか。また、SNS依存から脱却する1つの手段として五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)に集中し自分と向き合う五感日記というものも合わせて作成しました。これらの作品が、SNSとの向き合い方を考え直すきっかけになればと思っています。


『Invisible』

写真集

糸岡由佳子

髙木ゼミ

テーマは「使い捨て」です。そこで一番に思いついたのはやはりプラスチックごみについてでした。今までプラごみが地球に大きな影響を与えているということは知っていましたが、実際どれほどまでに影響を与えているのかは実感できていませんでした。その時に「マイクロプラスチック」の存在を知りました。私たちは知らず知らずのうちに体内にマイクロプラスチックを取り入れてしまっているのです。これらをきっかけに海に足を運んでみると、今まで全く気にして見ていなかったのですが、砂浜をザルで掬い上げてみれば無数のマイクロプラスチックが存在していました。この事実から私の写真集を手に取ってプラスチックごみに対する危機感を感じてほしいとの思いで制作しました。

表紙は一見カラフルで綺麗なもののように見えますが、これは実際に海で拾ったマイクロプラスチックを用いています。
初めは何の変哲のない日常生活にあるものから始まります。ページをめくっていくうちにズームアップしていくとプラの世界に変化していきます。普通の目では見ることができないようなプラの世界を可視化することで今まで食べていたもの、着ているものにもプラが含まれているということを感じてほしいです。そしてこの写真集をきっかけにプラに対する意識が変わっていけば良いなと考えています。


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『ほんのりの長い道のり』

絵本

大西未藍

髙木ゼミ

「もったいない」の精神は、ものや自然、命への敬意や感謝を持ち、大切にする心を表します。「使い捨て」があふれるいま、この考えが薄れているのではないでしょうか。合成糊(のり)に関するリサーチをつうじて、物の起源や廃棄後の影響が見えにくくなっている現状に気づきました。江戸時代には米から作った糊を使い、身のまわりの物を接着したり修理したりして、自然の恵みをむだにしない暮らしがありました。この精神を視覚化し、絵本を制作しました。

本作品は、紙を折り畳む形にすることで、物語に合わせて手を動かしてめくりながら読み進めることを目指しました。製本にはご飯粒を練った続飯(そくい)を用い、紙をつなげることで、一つのものを得るまでにさまざまなものの時間や手間、歴史が重なり合っている「もったいない」の考えを表現しました。また、食品ロスとして廃棄された古い米から作られた紙を使用し、米の風合いを生かしました。


『レジ袋のない生活』

冊子、袋

奧村佳乃

髙木ゼミ

私は今学期制作を始めるにあたってアルバイトの経験を元に「レジ袋の使い捨て問題」に向き合いました。私は高校生の頃からセブンイレブンでアルバイトをしています。そこでお客様が毎日のように何気なくレジ袋を購入する様子を目にして、レジ袋について今一度考えてみたいと思いました。冊子では、コンビニ店員目線のレジ袋に対する考えとレジ袋購入率の現状や購入率を減らす実験などについてタイポグラフィを用いて表現しています。手作りの袋は、レジ袋を再利用して細長く切り、それを糸のように使ってマクラメ編みをすることで、A4サイズの袋が完成しました。異なるコンビニのレジ袋を使ったことで、赤と緑の美しい模様が生まれました。レジ袋の何が問題なのか?なぜ使い捨てをしてしまうのか?“使い続けたい”袋とは何か?皆さんにとって毎日“使い続けたい”と思えるような袋を見つけて、楽しく使い捨てから脱してほしいという思いをこの作品に込めています。


『ソウゾウの暮らし』

冊子、ポスター

勝本麻央

髙木ゼミ

ソウゾウの暮らし』は生活をする中で、私たちがどう使い捨てに関わっているのかについて現代の家、さらに未来の家を想像し、まとめ上げた冊子です。現代の家ではインフラについて着目し、未来Ⅰでは資源を循環させるエコな家、未来Ⅱではなんでも吸収し、「無」にしてしまうブラックホールを組み込んだ家を想像しました。家は立体的な間取り図のようなイラストレーションを用い、視覚的に面白く、見る人の想像力を掻き立てるような作品を目指しました。

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『本当に足りない?消費社会における心の使い捨て』

久保田歩

髙木ゼミ

2024年度秋学期のゼミのテーマである「使い捨て」の中から「心」に焦点を当て作品を制作しました。現代社会では、外見が過剰に重視されることがあり、その価値観は消費社会と大きく関連しています。広告は単純な売り文句で私たちを煽り、次々と消費させようとします。その結果、ものを消費するだけでなく心をも消費しているように感じました。この作品では、捨てられるコスメを絵の具として再利用し、フェーズに分けて心の状態をタイポグラフィで表現しています。外側の箱にも絵の具にしたコスメを利用し、マーブリングという手法で着色しました。また、心の使い捨てに関するエッセイと消費された心を回復させるために私自身が実践したことを紙媒体にまとめています。自身の心に寄り添うことで、心にゆとりができ、環境問題に関しても新しいアクションが起こせるのではないかと考えています。


『今を大切に』

ポスター、冊子

塩谷茜

髙木ゼミ

「今」を改めて振り返り、そこにある感謝に気付き、前向きに今を楽しめる私たちになりたい。私はフィリピン留学経験を通して、物質的に非常に恵まれた日本では、日々の生活でさらに豊かになることや、今あるものを失うことばかりを気にしてしまい、途上国に比べて心の豊かさを失ってしまっていると感じました。

今あるけれど当たり前に感じ見逃していることを、グラフィックで視覚的に表現し、それらは実は、今しかないありがたい事であり、せっかくだからそれを楽しんだら良い!“Just Enjoy”というメッセージを、そう考えるようになったフィリピンでの具体的なエピソードを通して体験記に綴りました。


『サステナブルな雑貨』

雑貨3点(収納ケース、エコバッグ、ミニポーチ)

仁木希実

髙木ゼミ

家にあった素材のみでリメイク作品を3点制作しました。ブック型の収納ケースは余っていた布、シャツの袖部分、厚紙を使用しカルトナージュという技法を用いています。エコバッグは着なくなった長袖シャツをなみ縫いとかがり縫いという基礎的な縫い方で可愛くリメイク。ミニビニールポーチは、壊れてしまっていた傘を切り、ビニールという素材を活かし熱圧着で形を整えています。作品を通してリメイクの面白さと手軽さから興味を持ってもらい、サステナブルについて考えるきっかけになればと思います。


『The more you leave, The more you get.』

野村楓夏

髙木ゼミ

ずっとゴミは増え続けているのに、捨てることは消えることだと思ってしまう。
目の前から消えると、自分のものであるという責任がなくなり、捨てた=消えたという感覚になってしまう。

だれも所持しようとせず、使用し終えるとすぐに手離すゴミの使い捨てについて考え、「消せば消すほど増えるもの」というテーマについてさまざまなピクトグラムを制作しました。
このテーマにおいてゴミはネガティブな例と言えますが、例えば、靴下に空いた穴をダーニングで消すと、オリジナルの柄が増えていく、というようなポジティブなものもあります。
環境問題について考えることは自らの生活と向き合うことになったり、1人の力では動かしてきれなかったりして、ネガティブな状況を生むこともありますが、少しでもポジティブに捉えることができればという思いもあり、さまざまな種類の8コマのピクトグラムを10種類制作しました。

また別冊「残されるもの」には、使い捨てについて考えたことをまとめたり、プラスチックのごみは何千年と残り続けることから「離したくても離せないもの」であると考え、それを元に写真を撮ったりしました。

@fuka_nomura


『紙がなくなったら...?』

絵本

野本涼日

髙木ゼミ

学童保育所で働く中で、子供たちが紙を無限に使えると思っていることに驚き、紙の大切さを伝えたいと考え制作しました。本作では、紙がどこからくるのかを分かりやすく紹介し、子供たちが身近な紙に興味を持てるよう工夫しています。また、環境に優しい「ヨシ紙」を使用したり、破れたページを修復できるリボン綴じを採用したり、長く大切に使える本にしています。この絵本を通じて、子供たちが紙の価値を考え、日々の暮らしの中で大切に使うきっかけになれば嬉しいです。


『土に還る本』

濱崎多恵

髙木ゼミ

現代における使い捨てのシステムのなかで、私は生産の段階から選択肢はないのかと感じていました。江戸時代に遡ると、おにぎりは竹皮や経木で包まれ、使用後も再利用でき、ときが来たら土に還すことができました。このサイクルを本に用いることで、新たな選択肢をつくれないでしょうか。

本作品は、生ゴミや期限切れの種を和紙に漉き込み、そこに石からつくったインクを使用し、シルクスクリーン印刷の実験を行うなど、すべて土に還る素材になっています。ここではジェンダー問題やアニマルライツ、気候危機などを取り上げ、「土に還る」というテーマを通してこれらの問題をみることで、それぞれの問題は孤立しているのではなく、すべてつながっているということが分かります。作品の中にあるメモには、これらの問題へのリサーチ、この本の制作方法などについて記録しています。

@taehamasaki


『流れ着くもの』

冊子、ボトルメール

丸 園佳

髙木ゼミ

私たちの生活に必要不可欠となったプラスチック。周りを見渡してみても数えきれないほどのプラスチックが身の回りにあります。
でもプラスチックのことを本当に知っている人はどのくらいいるのでしょうか。どうやってプラスチックは生まれ、ここまで生活に溶け込み、 この地球に影響を及ぼしているのか、今まで私が見て見ぬふりをして知ろうと知らなかったことを私なりに調べ、冊子にまとめました。
また空間としても楽しんでもらえるよう、海をテーマにボトルメールやプラスチックで作った海の生物の飾りなどを作り、展示しました。
私たちが吐き出したものは巡り巡って私たちの元へまた流れ着く、今の生活のままで本当にいいのか、一緒に考えてもらいたい、そんな作品を制作しました。