同志社女子大学 メディア創造学科
進級制作展’23 mélimélo-メリメロ-


『いつものまち』

ボードゲーム

浅田純菜

髙木ゼミ

ボードゲーム『いつものまち』は、「いつものまち」に住む人々の様子を観察し、もやもやを抱えている人物を見つけるという「女性」をテーマとした協力型ゲームです。 「女性たち」のもやもやした思いや声に耳を傾けてほしいということと、それらのもやもやに対して、共感したり、自分にはよく分からないと思ったり、新しくもやもやしたり…思ったことを人に伝え、人の考えも聞いてみてほしいという思いで制作しました。 「いつも」に慣れてくると「いつも」が当たり前になります。いつもの当たり前が誰かを傷つけているかもしれない、自分や周りの人の可能性を狭めているかもしれないことに気づき、「女性」について自分事として考え直すきっかけになれば幸いです。


『Same view, different view』

小冊子

飯間りい

髙木ゼミ

SNSなどで美しくなることを強制されているように感じることがある。必要以上に見た目を気にしたり美しさを求めたりすることで、少し辛くなったり悲しくなったりすることがあるかもしれない。同じようなことを感じている同世代の女性に向けてもっと自分の考えに自信を持って、自由に生活できるようにわたし自身の考えやメッセージをイラスト共にかいた冊子。この本を読んで今まで見ていた世界が少し違って見えて、少しだけ楽に、自由になってほしい。


『困難 collections』

カード

上川有紗

髙木ゼミ

ゼミ内で統一されたテーマである『女性』、何かとシリアスになりがちなこの話題の中で、「こういうこと、あるある」「そういえば、なんでだろう」「これちょっとどうかと」と制作者が思う題材を、一昔前の小学生の憧れ(ポ○モン)カードというオブラートで重包装した作品。普段気づかないうちに感じていたであろう、女性として生きていての疑問や辛さなどを思い出してもらうことを目的とする。この作品を通して「私は〜と思う」といったように話題になれば、と考え制作した。テーマの中でも共感できそうな事柄を選んだこともあり『そういえばそうかも』の共有を目指している。反対意見等あると思うが、この作品は決して制作者の意見の決めつけではなく、制作者の意見をみて、閲覧者がどう感じるか再確認するきっかけであって欲しい、という思いがある。
「ファッション」「言葉」など5ジャンルあり、各ジャンルに沿った題材「メイク」「逆プロポーズ」などからなる26枚を制作した。ポ○モンカードのそれのように、その題材の特性、効果、補足として、事柄に関する説明をしている。個体名に準ずる図においては言葉不使用で誰が見ても分かってもらえるよう、ピクトグラム風オリジナルイラストを用いた。

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『それって当たり前?』

ポスター

河徳有希

髙木ゼミ

性別で役割が固定されていたり、ステレオタイプがあることを何となく気付いていても特に違和感をなく過ごしていたり、当たり前と思っているなど、こういう問題について考えたことがない人もいると思うのでそのような人達にこの問題に気づいてもらい、自分の意見や考えてもらいたかったので、言葉で伝える、見ている人に問いかける印象に残るような内容のポスターを作りました。表面は見ている人の目を引くようなものにし、裏面は文章で表現をしました。


『とまる、留める』

インスタレーション

松浦玲音

髙木ゼミ

文字のインスタレーション作品として言葉における男女差別を視覚化しました。タイトルの「とまる、留める」は普段気づいていないステレオタイプ(固定概念)に気づき心に留めて欲しいという想いから付けています。“女々しい”や“女性らしい”という言葉は普段何気なく使われていますがそのような言葉も差別的であると知りました。この作品を通して言葉による男女差別について考えたことのなかった人や、普段ステレオタイプに気づくことがなかった人に気づいてもらえるきっかけになれば良いと感じ制作しました。


『“ふつう”って何だろう?』

インスタレーション 参加型展示

森美乃里

髙木ゼミ

「“ふつう”ってなんだろう。実は結構みんな違うのかも。」といった個人かの持つ感覚にスポットライトを当て男女というジャンルにおいて「ふつう」とは何なのか、それぞれが持つ感覚を視覚化するための投票型展示です。表面では投票を呼びかけ当てはまるものに投票し、裏面ではなぜその解答になったのかという理由を問う質問と、社会における男女差を埋めたいという期待を込めて付箋を交えた意見の共有の場を設けました。手にとって参加することで作品が完成していくワクワク感と、意見共有から学ぶ身の回りの些細な言動を見直し、より生きやすい、より過ごしやすい社会とは何かを考えてもらいたいです。


『individuality』

パンフレット

中村梨乃

髙木ゼミ

私たちの中にある無意識のステレオタイプについて、小冊子で解説し、さらに小冊子にあるチェックシートの結果を、視覚的に示すためのアンケート用紙を展示しました。小冊子にはアンコンシャス・バイアスに関するチェックシート、チェックシートに関する世界の事例と取り組み、アンコンシャス・バイアスについての説明を書きました。アンケート用紙には、参加者にシールを貼ってもらうことにより、結果を視覚化できるようにしています。この参加を通して無意識のうちに自分の中に存在するステレオタイプを見直すきっかけになればいいと思っています。


『Myself』

雑誌

中山怜美

髙木ゼミ

自分自身とは何かという問いを大事にしてほしいという思いから、『Myself』という雑誌の制作をはじめました。社会にはジェンダーに関する偏見が多くあります。そうしなくてはならない雰囲気に呑まれてはいつしか自分を見失ってしまいます。そうなる前に、これまでの固定概念を捨てて、自分らしさを探してほしいため、各巻では「小確幸」「食事」「仕事」をテーマにジェンダーの問題を絡めながら共に考え、気づきを得られるような内容になっています。

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『あべこべ』

掛け軸

大西彩香

髙木ゼミ

普段、許し流されている女性が頻繁に受ける被害を題材として取り扱いました。まず、「plan B_女性」と言うテーマが課題としてありました。その中で参考にした資料と感想を以下に掲載します。『「World Economic Forum (2023) Global Gender Gap Report 2022」の中で妊産婦死亡率がありました。今の日本では中絶する際に多額のお金と体への大きな負担がかかります。2023年4月に中絶薬が新しく承認されましたが、費用はまだまだ高額です。出産は命懸けなんだと言うことは性別関係なく知るべきだと思いました。また「本田由紀(2021)「日本」ってどんな国?」のデータの中でハラスメントを受けている割合が女性の方が多いことが印象的でした。よく電車の女性専用車は男性差別だと言う方がいますが、この話の中で出てきたように「学校での猥褻行為による懲戒処分等」がほとんど男性だったと言うことなどを知ってほしいと思いました。そして、「みらいめがね・第35回「もう、しません」」を読み、学校というシチュエーションの異常さに気付きました。よく、男の子が女の子にスカートめくりを行います。しかし、私が接してきた先生のほとんどは被害をスルーしていました。もしこれが学校はではなく往来のある街中で、子供ではない大人が行えばどうなるかは想像が容易いです。明らかな犯罪行為でも学校内というだけでスルーされていいのか、考えてもらいたいと思いました。』次に、作品の表現方法に関して影響を受けた作品を以下に掲載します。『「大奥 よしながふみ」で男女逆転という発想を得ました。女性がそのまま被害に遭っている様子をイラストにおこしても、「まあ、世の中そんなものでしょ。受け流す力をつけないと社会人としてやっていけないのだから、その練習だよね。」と思われるのではないかと考えました。そこで男性が被害を受けているように表しました。行為の異常さを強調したかった為です。気付きを与える作品になれば良いなと思い、表現方法を参考にしました。』これらのことより、私は「スカートめくり」「女性専用車両」「露出ファッションと忖度」「飲み会とセクハラ」「妊娠・出産」という五つのテーマをアメコミ風と日本古典風に表現しました。詳しくは、「はじめに」と「おわりに」のミニ掛け軸の写真をご参照ください。補足として、「好」の字の意味だけ記載します。文章を書いている側の面では、「好」という字を女性の顔に見えるように表しました。最後に、配布物の説明を記載します。「スカートめくり」「女性専用車両」「露出ファッションと忖度」「飲み会とセクハラ」「妊娠・出産」の中で、どの事象が一番関心を持たれているのか知りたいと思いました。そこで配布物を投票形式にしました。台紙に記載した通り、ここで結果を発表します。
1位:妊娠・出産 8/8票、2位:女性専用車 スカートめくり 6/8票、4位:露出ファッションと忖度 5/8票、5位:飲み会とセクハラ 4/8票、でした。大学での展示でしたので、下位の2事象が多いのではと思っていましたが、妊娠・出産が一番多いことに驚きました。ご協力、ありがとうございました。


『吾輩らは人間だ』

パネル

大野日菜子

髙木ゼミ

ジェンダー問題を考える上で感じているのは「そもそも女とか男とかで人を見るのではなく、人間という“個”として見たい」ということだ。
人間の個性というのはいっぱいの「特徴」の塊だと思う。何一つ同じ配合はされていない。そんな人の「特徴」を同一化し、見つめ直してみれば、偏見と環境に縛られる部分は少なくなってくるのではないだろうか。
展示会の作品の制作者らの「中身」と「見た目」が視覚化された立体物(球体)を見つめ、冊子を読んでもらうことにより、来場者が制作者を一人の個として捉える場を提供する。

【パネル説明】
まず事前に展示会の作品を出展した製作者らに任意のアンケートとして、自身の思う「中身」と「見た目」含めた最大の「特徴」を上位から5つ記述してもらい、それが占める割合をパーセント(%)表記で設定してもらった。集まったデータをもとに、私(大野)が「特徴」をランダムに色振り分けていく。ランダムと評したのは既存の色のイメージと切り離し、偏見と環境からの解放を狙うためである。その後、その色と割合にしたがってその人の特徴を表した球体を制作。これらの立体物は展示会当日の制作者の展示物と対応するように、地図型のパネルに貼り付けた。立体物は透明ねんどすけるくんと水彩絵具を使用。パネルの地図は消しゴムはんこと黒のマスキングテープ、タペストリー棒。

【冊子説明】
パネル展示だけでは来場者にどのような作品意図かつ変わらないため、制作にあたる経緯や作品の見方、制作者らの「特徴」の詳細、色、「特徴」が占める割合(%)を記載した。マット紙を使用。タコ紐で糸かがり綴じを行う。

@don_piuforte.dawn


『in your style.』

ポスター

植田純奈

髙木ゼミ

「美」に対して、疑問を持つこと、考えること、共感することを軸にした三枚のポスター。白くて、細くて、ぱっちり二重。世論が個人の意見を呼び、個人の意見が世論をつくる。私たち一人一人が唱える呪文に、私たち自身が縛られているのではないだろうか。そんな疑問から始まった「美」をめぐる思考や積み重なっていく思いを、ポスターという紙の層にして表現した。
自分自身にとって「美」とは何なのか、何が基準で心が動くのかを考えるきっかけとして、この作品が作用してほしい。


『wo/man』

パンフレット

山本早紀

髙木ゼミ

今回の進級制作展では、女性と労働という点に焦点を当て、作品を制作しました。「wo/man」というタイトルにはwork(働く)とwoman(女性)が併せ持つwoという文字と、woman(女性)とman(男性)との間にある隔たりを表現しています。
高校大学と女子校で過ごし、理解のある周りに恵まれた私にとって女性差別やジェンダーギャップの問題は配慮されて当たり前だと思っていて、当事者であれどなんとなく実感のないものでした。しかし現代は私が思うよりも性差は縮まっていないことを知り、今後社会人としての今後の生活に不安を感じたことがこの作品を制作したきっかけです。
制作を通して今後この日本で女性がどのように生きていけば良いかを私自身が学び直すとともに、これから社会に出ていく同年代の女性にもこの問題を意識するきっかけになればと思います。